「海外不動産節税にメス」
「海外不動産節税にメス」
高額な海外の不動産に投資をし、そこで出る赤字と国内の所得を合算して税負担を減らすというスキームです。
ここにいよいよメスが入ることになります。
今後、与党の税制調査会で詳細を詰めて2020年度税制改正大綱に所得税法の見直しを盛り込みます。2021年分以降の所得税に適用される見通しです。
【不動産を使って節税】
→ポイントは「減価償却費」
不動産を購入するときの減価償却費は、海外でも日本の税法に基づく耐用年数を適用することができます。
海外の不動産と日本の不動産で何が違うか?それは「資産価値」です。
例]日本では、土地が建物より高値ですが、海外不動産となると逆転し、土地より建物評価が高値です。
考え方]日本では家屋というのは消耗品という考え方。海外不動産🇺🇸というのは(地域・国にもよります)築年数が古くても資産価値が落ちません。修理をしながら長く居住をするという文化なので、建物価値があるという見解。
【建物の減価償却費の考え方】
新築建物の法定耐用年数は
・RC47年・レンガ造38年・鉄骨造34年・木造22年
※ 新築で家と購入すると「22年という期間を掛けて経費に組み込んでください」という意味です。ではこれが中古物件だと(建物は)どうなるのでしょうか。中古建物の減価償却費を計算する際には、法定耐用年数ではなく、使用可能期間として見積もられる年数を使います。使用可能期間の見積りが困難な場合には、「簡便法」によるのですが、実務上は簡便法による耐用年数を用います。
【簡便法による計算式】
・法定耐用年数の全部が経過した場合
⇒法定耐用年数×20%が耐用年数となります(1年未満端数は切り捨て)
・法定耐用年数の一部を経過した場合
⇒法定耐用年数ー経過年数+経過年数の100分の20
中古建物の耐用年数はどうなるでしょう。
・RC9年・レンガ造7年・鉄骨造6年・木造4年
※中古の木造建物の減価償却の耐用年数は「4年」ということになるのです。例えば、アメリカでは建物の減価償却費は新築でも中古でも耐用年数は27.5年。
日本で居住している(納税している)人で、海外の不動産を所有している建物については、日本の税法に基づく耐用年数を適用することができる。
その海外不動産が(法定耐用年数の全部が経過した築30年くらいの)
中古、1億の不動産で、計算🔻
1億円(2000万円が土地、8000万円が建物)
⇒8000万円÷4年=2000万円
この多額の金額が、減価償却費として計上できるというわけです。
この海外不動産を5年経過して売却。
5年以内だと「短期譲渡」として、売却益に対する所得税・住民税が約40%課せられてしまう。
5年超となると、長期譲渡として約20%。
<海外不動産の概要>
・構造:木造(築30年)
・取得価額:1億円(2000万円が土地、8000万円が建物)
・海外不動産からの家賃:500万円/年
・賃貸に出す諸々の経費:100万円/年
・家賃収入:500万円
・経費:2100万円
(うち減価償却費が2000万円)
・損失額:△1600万円
・節税額:880万円
(給与所得者で最高税率のランクに入る人という想定。損失額×55%(税率)で計算)
・4年間の節税額:3520万円
<6年後に売却した場合の納税額>
・売却代金:1億円(価値が下がらなかったと想定)
・取得費:2000万円(1億円-減価償却費累計)
・売却益:8000万円
・納税額:1600万円
※この節税のメリットは
3520万円-1600万円=1920万円
海外不動産では金利も高いため収支(キャッシュフロー)が出ないケースもありますが、上記の例だと、家賃収入で500万円/年で経費100万円/年とすると、年間400万円儲かってしまうので、もっとメリットがあるということになりますね。
給与所得者で最高税率までいっている方→大きな節税メリット
今後メスが入るという「予定」です。
T&Amaster11月25日号によると、
・海外中古建物に係る減価償却費の経費計上を認めないことととする
・過去に本節税スキームにより経費計上した減価償却費にまで本改正が及ぶことはない
2020年度税制改正大綱に注視です。
富裕層の課税強化時代へ
政府は本気で動いてます。
あなたが今
「節税」しませんか?
と言われているその物(スキーム)
が確かなものか
確認してみる事は必要です。